音の襲来

精神的に摩耗して、神経が高ぶった夜は、まれに五月蠅さに悩まされる。

最初は手足からしびれ、動けなくなる金縛りから始まり、その後聞こえるはずのないものが聞こえてくる。私の場合はたくさんの人の声だ。耳を通して聴いている感覚だが、幻聴なので正直頭から聞こえるのか、耳から聞こえているのかはよくわからない。

駅の構内にあふれるような人のさざめきが、音の塊となって私の鼓膜を圧迫する。

声が重なり、蠅の羽音のような煩わしさを感じさせる。

身をよじって金縛りを解けば、その音も波が引くようにさあっと消えていくのだが、眠りに落ちそうになるとまた襲ってくることも多い。

面倒な夜を過ごしたくないため。私は自分の精神衛生を保つ努力をする。

 

創作でもあり、実話でもあり。しらすじゃっこでした。